処方箋医薬品でのニキビ治療について【差がつく知識】

Medicine

10代〜20代を中心に年齢・性別を問わず、悩んでいる患者の多いニキビ。
自分の外見が気になり、外出できなくなる人もいるほど大きな問題にも関わらず、軽視される傾向があります。薬剤師として患者サポートをしっかり行っていきましょう

患者の気持ちを知ることが第一歩【ニキビ治療の背景】

個人差はあれど、多くの人がニキビに悩まされた経験があると思います。
自分も経験したことがあるからこそ、自分がそれほど気にならなかったからこそ
ニキビの皮膚疾患としての認識がうすくなっているのではないでしょうか?

日本皮膚科学会でもこの認識のうすさがとりあげられており、この認識はもはや医療者側の問題といえます。

ニキビで病院を受診する患者の特徴

ニキビで悩んでいる患者は老若男女問わずたくさんいます。
しかし我々が思っているのと同じように、世間的にもニキビは軽視されており患者本人ですらニキビで病院に行くなんて大袈裟・恥ずかしいと思っているようです。

ニキビの患者の受診率は世間の風潮もあり、10%程度にとどまっているようです。(尋常性痤瘡治療ガイドライン 2017より)
軽症で受診がいらない人を除いたとしても、低すぎる数値だと思いませんか?

私たち薬剤師の前に立つ患者は恥ずかしさや不安を抱えて受診した10%のうちの一人ですので、かなりデリケートな方が多いといえます。また多くの方が受診する前に自身で市販薬や美容化粧品を使用しています。

ニキビ治療薬【2つの成分に詳しくなりましょう】

近年のニキビ治療は【過酸化ベンゾイル】【アダパレン】これらの成分を中心に行われています。これらの含有する処方箋医薬品は4種類発売されています(2020現在)
4種類あるものの、有効成分の組み合わせや抗生剤の追加などしか差はないので、成分単位で理解を深めるのが良いでしょう。

◯過酸化ベンゾイル単剤
べピオゲル

◯アダパレン単剤
ディフェリンゲル

◯過酸化ベンゾイル+アダパレン
エピディオゲル

◯過酸化ベンゾイル+クリンダマイシン
デュアック配合ゲル

基本的な理解は添付文書で確認してしまいましょう。
過酸化ベンゾイルの添付文書(べピオゲル)
アダパレンの添付文書(ディフェリンゲル)

過酸化ベンゾイルの差がつく知識

過酸化ベンゾイルのよくある服薬指導

過酸化ベンゾイルはアメリカのプロアクティブに含有されており、世界的にはニキビの治療薬としての歴史は長い成分です。過酸化ベンゾイルはニキビの原因菌への抗菌活性があり、この活性は過酸化ベンゾイルが分解した際に生成するラジカルによるものです。

過酸化ベンゾイルの服薬指導でみなさんが漏れなく指導するのは刺激性・発赤に関する情報提供ではないでしょうか?そしてその副作用を防ぐ方法もこのように伝えているはずです。

保湿をしてから使用してください。
紫外線は避けてください。
2週間ほどで慣れてきます。

間違ってはいませんが、患者の背景を考えると情報が足りません。

過酸化ベンゾイルと美容化粧品の相性

多くのニキビ患者は受診する前に自分なりに市販薬・美容化粧品を使用しているケースがほとんどです。これらの多くにはビタミンC・ビタミンE・コエンザイムQ10などの抗酸化成分が含まれています。

過酸化ベンゾイルの抗菌活性はラジカルによるものです。
したがって抗酸化成分を含む美容化粧品と併用することでラジカルが処理されて、過酸化ベンゾイルの薬効低下の恐れがあります。

過酸化ベンゾイルを使用する際、患者がもっている保湿化粧品は併用不適な場合も多いので、必要に応じてヒルドイド等の同時処方を提案できると良いでしょう。

アダパレンの差がつく知識【雑学です】

アダパレンとレチノール

アダパレンもレチノールもビタミンA誘導体と似た構造をもちます。

ビタミンAは角質剥離、表皮ターンオーバー促進などを通して、ニキビ・しみやたるみ・毛穴の悩みなど多くの美容効果を持つ成分です。多くの美容化粧品にはレチノールとして含有されています。このレチノールの生理活性を上げたものがアダパレンです。

ニキビ治療薬として使用されているアダパレンですが、ニキビ治療のため継続塗布した患者は治療前より肌のキメが整い、毛穴が目立たなくなっているケースも多いようです。

【結論】ニキビ治療と美容化粧品は切り離せない

皮膚科治療薬は適応症の治療を行う上で副産物として美容効果が生まれる場合があります。あくまで適応症の治療のための処方ですが、ちょっとした雑談での情報提供が患者のコンプライアンスに影響しやすいのも皮膚科・ニキビ処方の特徴です。

また美容化粧品との関係も大切なポイントです。今回の例で言えば抗酸化作用など、処方薬の効能・効果に影響を及ぼすようなケースは気付かぬうちに起こってしまっているかも知れません。化粧品に興味を持てとは言いませんが、目を向ける・意識するといった習慣は身につけておくと良いでしょう。