【30分で上達】薬歴の記入方法

Medicine

すべての薬剤師が一度は悩まされる『薬歴』について、実務上の薬歴の存在意義から実際の記入方法を説明します。

薬歴の必要性については大学在学中や実務実習で体感しているかと思いますが、患者の安全な薬物治療のための記録です。
そのため薬剤師業務の中でも多くの時間が薬歴記入に費やされてます。
したがって薬歴の記載目的を理解する事で、記載内容に悩まされる事なく効率的に業務を進める事ができます。
新人薬剤師の方は自己学習の時間を確保することもできるので、大きなメリットがありますね。

薬歴を書く理由

薬剤服用歴管理記録(薬歴)に関連した義務

薬歴を記入しなければいけない理由は実務上2つの義務があるためです。
1つが保険薬剤師療養担当規則、もう1つが薬剤服用歴管理指導料算定要件です。

保険調剤を行う際は薬歴を確認しなければならない。
薬学管理料を算定する際は薬歴の確認・記載をしなければならない。

この2つの義務を遂行するために薬剤師は薬歴記入を行わなければなりません。調剤や服薬指導を完璧に行なっていても薬歴の確認・記載がなければそれは規約違反となり薬剤師としての職務を全うしたことにはなりません。

薬歴の記入方法(SOAP式)

具体的な薬歴の記載方法を確認しましょう。
薬歴は定められたフォーマットはありませんが、近年SOAP方式での記載が広まり、一般化しているので準じた説明をしていきます。

SOAP方式とはPOS(問題志向型システム)といったことをどこかしらで耳にしていると思います。これをもう少しわかりやすくすると患者の問題の共有・改善を目標とすることです。したがって治療上の問題点や課題を記録し改善できるように指導を行うことが求められています。
とはいえ実際記入するとなると何をかけば良いのかわからなくなってしまうのでそれぞれの書き方を説明していきます。

S 主観的情報の記載方法

Sには症状や服薬状況・副作用についてどう感じているか・悩み・疑問を持っているか等の問題に対しての患者自身の言葉を記録します。
実際の患者とのやり取りで話した内容を抜粋し記載しましょう。

例えばある患者が、『やっぱり昼飯のあとは薬忘れちまうんだよなー』と投薬時に言っていれば、Sにはそのままの表現を記録しましょう。
S記載時の注意として、投薬時に話した内容の抜粋が下手な人がいます。
雑談や世間話の内容を覚えていると確かに患者との関係を築きやすくなることはあると思います。しかしそれは接客記録であり薬学的な問題提起や薬物治療への直接的な意味はありません。したがって薬歴に記載するべきではありません。

O 客観的情報の記載方法

Oには皮膚が赤い、咳をしているなどの患者の見た目・表情・状態情報や血圧・血糖値などの検査結果数値を記録します。
Oに記載する内容はある程度一定なのでいくつか頻繁に記載する内容を紹介しておきます。

❶来局者、来局期間
来局者は誰なのか。本人、家族、介護者など。
来局期間は処方日数と来局期間のずれの確認(コンプライアンスの間接的確認)

❷処方内容の変更点
電子薬歴で、処方内容が自動的に挿入される場合には必ずしも必要ありませんが、特に症状変化を表している処方内容変更は記入しておくと分かりやすくなります。

❸患者の特徴・症状
患者の身体的所見、車いすを使用している、松葉杖をついている、目が不自由、筆談で会話など。
足を引きずっている、目が赤い、皮膚が赤い、鼻をかんでいるなどの外的症状。
急いでいる、症状あまり話したがらないなどの来局時の様子。

❹併用薬、検査値などの検査値
お薬手帳や薬情・持参した薬などから読み取った併用薬。
血液検査や健康診断の結果・血圧手帳などから読み取った検査値。

A アセスメントの記載方法

Aには処方内容・処方歴とS・Oの情報を基に、患者の薬物治療上の問題点の有無、またそれに対しての判断・評価を記録します。
症状・検査結果の変化・併用禁忌・副作用の発現・コンプライアンスやアドヒアランスなどの薬学的な判断も記録しておきましょう。
確認した事項について、問題がなかった場合でも問題がなかった旨を書き残すことが大切です。重篤な副作用への早期対応のためには、初期症状は何か把握し、もし症状がでたらどのように対処したらよいか指導することが重要であり、その指導内容も記載しましょう。
Aに記載する内容が薬剤師としての能力が試される部分であるため、新人薬剤師が指導を受けやすい部分になります。
参考までにどのような内容を記載すべきか具体的に紹介します。

❶用法・用量・適応症の確認
散剤、シロップ剤など体重により用量換算が必要な薬剤や、年齢・適応症によって用量・用法の異なる薬剤については、適切であれば用量・用法確認し問題なし、適切でないと思われるのであれば用量・用法違いのため疑義照会、処方変更あり・なしなどの記録を残す。

❷合併症・併用薬の確認
1つの疾患だけでなく、複数の疾患を患って服用している薬がある際に作用が重複する、併用禁忌があるなどがあるかないかの確認を記録に残す

❸食品・嗜好品・体質・ライフスタイルの確認
新規患者に限らず定期的(半年~1年程度)に見直しを行ない、毎晩飲酒あり、禁煙継続などにより副作用症状発現の可能性あり、妊娠中、授乳中のため注意などの記録を残しましょう。

❹副作用や体調変化の確認
イエローレター・ブルーレター・警告に記載のある副作用、重大な副作用として記載のある副作用については定期的(1年に1回以上)に確認を行ない、その判断を記録しましょう。副作用症状として頭痛あるが、症状が軽いため処方継続問題なしと判断などの評価を記録しましょう

❺服用状況や治療効果の確認
朝が忙しくて、飲み忘れる事があり残薬がある為用法の変更を医師に提案が必要か?
血圧が正常範囲内の為治療効果あり、など残薬・服用状況・治療効果についての考察を記録しておきましょう。

P 計画・行動(プラン)の記載方法

Pには問題解決するための計画・行動を記録します。
S・Oの情報、Aの考察を踏まえ、どんな服薬指導や調剤行為を行なったのかを記録します。
Pはさらに3つに細分化される事もありそれぞれ、EP・CP・OPとして記載します。これらに記載する内容は以下の通りです。

EP(Educational Plan) 

情報提供・指導したこと
薬効、副作用、相互作用などの説明、服用方法や飲み忘れた場合の対処法などの説明、使用・保管にあたっての注意事項、患者の質問・疑問に対する回答、服薬方法、誤飲防止等の服薬指導、薬剤服用歴の記録などです。注意することは患者情報を集積したものであり、適切な服薬指導を行うためには必要不可欠なものであり、疾病に関する一般的な生活指導は薬学的管理指導とは言えないと言うことである。食事指導や運動指導のみで服薬に関する指導がない、検査値の漫然とした記録でそれに対しての指導がないなどは不十分である。
薬学的指導は薬の説明や解説ではなく例として「このお薬は眠気や立ちくらみがおこることがあるので気をつけてください。」というのは一般論であり不十分。薬学的指導とは薬剤師が行うべき行為「~~だから、どうする。」という特定情報が大切となる。情報収集時にその質問から何を知りたいのか、目的がはっきりしない質問は無駄話であり必要ない。(コミュニケーションをとるうえでは必要である。)薬剤師が行うべき行為、「~だから、どうする。」、「なぜ」を伝えよう!の理由がわかれば実行できる。あなたが、「なぜ」、そうするのか、したら駄目なのか個別具体的に理解できるように伝えることが重要である。
例として抗生物質は5日間飲みきってくださいは不十分。見た目では治っていても体の中にはまだ菌が残っていることが多く、しっかり飲まないことでぶり返してしまう可能性があります。 また、途中でやめてしまうと抵抗力のある菌がやっつけられずに残ってしまうので、その状態でぶり返してしまうと抵抗力のある菌が増えるため次に同じ抗生物質を飲んでも効きにくくなってしまうので、5日間飲みきってくださいが妥当。~だから、どうするを意識して記載することが大切である。

CP(Care Plan)

患者に対して行なったこと
疑義照会の内容、一包化などの調剤行為で印字の仕方の記載、服薬指導につながる内容で吸入薬・点鼻薬の使用方法についてリーフレットを用いて指導、低血糖時の注意リーフレットとブドウ糖お渡しなど。OやAなどに記載しても構わない内容もあります。新規手帳作成の記載などをすることで乳幼児服薬指導加算の算定要件を満たすために必要である。

OP(Observational Plan)

申し送り・次回の課題
次回聞き取りを行ないたい内容、体調変化や、副作用状況の変化、効果が得られているか、など、アドヒアランスの確認、残薬の確認、検査結果の聞き取り、併用薬や嗜好品などの詳細が不明である場合など次回の服薬指導、処方鑑査に行かせるように記載する項目である。

一包化、引き続き内容、疑義照会などの内容をOやAに記載するかなどは各薬局、薬剤師で統一されていると思いますがどの薬歴の書き方が正しいかではなく、より充実した薬歴の記載につなげるかが重要となります。Pの記録は次回の調剤・投薬・指導への「連続性」を担う項目と言えます。どんな指導が行なわれて、何が課題になっているのか、次回の読み手に伝わるような記録を心がけましょう。